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Windows8とMountain Lionの操作の比較

Surface Pro日本発売決定

Adobe製品ラインをCreativeCloudに一本化へ

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PowerEdge T110の導入・セットアップ

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PowerEdge T110の導入・セットアップ

DELLのエントリークラスサーバー機、PowerEdgeT110IIを、社内サーバーとして導入しました。 その経緯と、導入の簡単な説明をしてみたいと思います。 PowerEdgeサーバー導入の経緯 今回のサーバー導入以前は、一般的なデスクトップ型パソコンをファイルサーバー、開発用データベースサーバー、バージョン管理のサーバーとして使用していました。 内蔵のハードディスクドライブはあまり容量がないものでしたので、USBハードディスクを接続してデータ共有領域、もう一台を接続して、それに日次バックアップをとっていました。 単純にこのファイルの二重化のみで十分だと考えていたのは、運用方法として、ローカルに作成したファイルなどをサーバに共有するため、それで三重コピーとなり、ローカルPCのバックアップと合わせれば、ほぼファイルは失われることはないだろうという想定のもとです。 ただ弊社もこの春からメンバーも増え、共同作業が多くなるうちに、ファイル共有サーバーにのみ存在するファイルも多くなり、ファイル共有サーバーの可用性と耐障害性が必要となってきました。 そのため、たとえばRAID1等を利用したWindowsStorageServer2012のような製品も候補に挙がりましたが、データベースやバージョン管理など、汎用的に使うことと、ハードウェア保守をきちんと入れる意味で、PowerEdgeサーバーの購入に至りました。 PowerEdgeT110 IIについて PowerEdgeT110 IIはDELL社の中でも最も安価なサーバー製品ラインナップで、1Wayサーバーです。電源の冗長化、ハードウェアRAIDやハードディスクのホットスワップがありません。 1Wayサーバーはプロセッサ用ソケットが一つしかなく、プロセッサが一つしか搭載できません。 電源冗長化とは、電源を一つしか持たず、一つの電源が故障すれば、システム全体が停止するということです。 ハードウェアRAIDはRAID専用の拡張カードを持っていて、拡張カードの機能によって、RAIDが実現されるものですが、今回はソフトウェアRAIDです。 ハードディスクのホットスワップの有り無しは、電源をつけたまま、障害ハードドライブの交換が行えるかどうかという差となります。 こう書いてしまうと、はたして十分な可用性を持つのか、と思われる方もいらっしゃると思います。 サーバー自体が停止した際は、USB接続の外部ハードディスクにミラーをとっていますので、それを他のパソコンで読み出し専用の共有をします。 ファイルの編集は個々のパソコンで行い、保守が入ってサーバー復旧とともにファイル共有を行う想定でコストの削減を狙っています。 サーバー機自体のコストを抑えた分、RAID5+ホットスペアの構成をとっています。 三台構成のRAID5で、一台故障の際は、予備の1台がRAIDに組み込まれ、RAID5の再構築を行います。 PowerEdgeT110IIの導入 PowerEdgeT110でRAIDを導入するにあたってオプションのPERC S300というRAID用のカードを選択しましたが、これはチップセットが持っているRAID機能を利用したもので、PERC S300は実質上SATAあるいはSASハードディスク用のホストアダプタです。 これに対応するドライバは現在WindowsServer2003~2008R2までとなっており、最新のWindowsServer2012には対応していません。 このPERC S300用のドライバは、Windows導入以前にあらかじめダウンロードしておかないと、RAIDボリュームにWindowsを導入することはできません。 起動時にCtrl+RでRAIDのセットアップ画面に入ることができ、ここでどの物理ディスクをRAIDに利用して、仮想ディスク(物理ディスク上に構成されたRAIDボリューム)にするかという設定になります。物理ディスクをホットスペアとして登録することもここでできます。 ここでRAID内の実質的なパーティション分割を行います。システムボリューム、ユーザー領域という形で、およそ4GBのRAIDボリュームを切り分けます。 この後、Windowsのインストールに移ります。まずそのままでは、インストールすべきハードディスクが見つからない状態になります。 ここで、RAIDコントローラーのドライバをCD-ROMから読み込ませると、RAIDボリュームがハードディスクとして認識されます。 RAIDコントローラーのドライバーを読み込ませた後は、Windowsのインストーラーのディスクに戻しておかないと、このハードディスクにWindowsをインストールできない旨の警告が表示されます。 この後の導入については、従来までのWindowsサーバーのインストールと同様になります。 導入後のサーバー移転 サーバーのインストールが終わると、ネットワーク越しに、旧サーバーのデータをミラーします。 完全に構築が終わる前にあらかじめコピーしておけば、あとは差分のコピーのみになりますので、時間の短縮になります。 ただ、ネットワークやサーバーの負荷が大きくなるので、これは誰もいない時間帯か休業日を選んで行いました。 そして、バックアップドライブへのバックアップタスクを設定します。 バックアップにWindowsに付属しているRobocopyというコマンドラインアプリケーションを使用します。 robocopy [コピー元] [コピー先] /MIR /E /COPYALL /EFSRAW /NP /LOG+:”ログファイル” /ZB /R:10 /W:30 をミラー用。 robocopy [コピー元] [コピー先] /E /COPYALL /EFSRAW /NP /LOG+:”ログファイル” /ZB /R:10 /W:30 を誤消去防止用バックアップとして、それぞれ別のタイミングで、別のHDDにバックアップするようにしています。 robocopyのコマンドの内容については、また別の機会を設けて説明したいと思っています。 これらのタスクを作り定期実行の確認をしてから、データーベースサーバーやバージョン管理サーバーのインストールを行いました。 バージョン管理はSubversion Edgeが定期バックアップ機能を備えているので、これを利用して、バックアップディスクにバックアップしています。 そして全員の業務のない日を選んで、すべてのデータを新サーバに移転し、バージョン管理のデータを移転。 旧サーバーのファイル共有を停止して、バージョン管理も停止します。 あとは一通りの定期バックアップタスクが無事完了することを確認して、全ユーザー向けにファイルサーバーの移転を通知して、移転の作業は終了です。 これでRAID5ボリューム、外部HDD2つにフ ァイルが保存されるので、全てを同時に失うことがなければ、データの消失には至らないはずです。 これらの作業を終えて PowerEdge T110IIというエントリークラスのサーバーでも、性能と、データの保全性高めることができました。 低コストでも、何かあった際、できる限りダウンタイムを低減できるものと考えています。 この事務所の中でサーバの設置場所など、様々な下準備と下調べに時間がかかり、ブログの更新が後回しになる状態が続いていましたが、今後また安心できる環境の中で、ブログ更新などが行えるものと思っています。

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無線LAN規格IEEE802.11ac(draft)を試す

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無線LAN規格IEEE802.11ac(draft)を試す

一般向けの無線LAN規格802.11ac(draft)での無線LANの構築計画を立て、実際に使用できるかの判断のために、通信速度などを計測してみました。 無線LAN規格について IEEE802.11が無線LANの規格を定めているもので、この後に続く、a/b/g/n等といった文字は、この規格のなかで、周波数や、方式の違いなどによる差を示しています。 b/g/nという無線アクセスポイントは、一番多く普及しており、またもともと対応しているノート型パソコンや、スマートフォンなども多いです。これらは周波数としては、2.4GHzを利用しています。 弊社事務所でも、ノート型PCや、タブレット、スマートフォンなどのためにこの2.4GHzのアクセスポイントを使用しています。 2.4GHzを利用するアクセスポイントは普及台数も多いため、このところ電波の干渉が多く、到達距離や、スピードに影響が出ることも多くなってきています。 a/n規格と呼ばれる無線LANは5GHzを利用するため、遮蔽物や距離に対しては比較的弱いですが、アクセスポイント普及台数も少なく、干渉も少ないことから、この5GHz帯のアクセスポイントの導入を検討しました。 LANの拡張の計画 弊社の従業員数も増え、事務所の拡張を本格的に検討する上で、コンピュータ企業としてはネットワークがどうしても欠かせません。 Webサイト作成も主な業務ですので、ルーターの外に出ていく通信も重要ですが、社内でのファイルのやり取り、ソースコードのバージョン管理システムとのやり取り、データベースサーバーとのやりとり、などの通信には、より高速性を求められます。 本来有線のLANを敷設するのが正しい方法ですが、現在配管などがないため、増設工事を行うとしても業務との兼ね合いがありますので、即取り掛かるのは簡単ではありません。 そこで、今回LANの拡張のためにこの802.11ac規格の無線通信の導入を検討します。 このようなイメージで構築を考えています。 外部へ出ていく通信は、NTTの回線速度で固定されていますので、社内LANとしてどれだけ使えるのか、ということを主眼にして考えてみます。 IEEE802.11acの親子接続の速度 現在あるLANのスイッチングハブにNEC Aterm WG1800HPを接続しアクセスポイントとします。そして同型のアクセスポイントを子機、イーサネットコンバーターとして、新設されるLANとの通信に利用します。 十分使えるスピードが出るのでしょうか。実効751Mbpsといっても、非常に良好な状態での計測と考えられますので、それだけの速度はまず出ることはないと経験則から考えてテストしてみます。 iPerfの結果 iPerfというネットワークの帯域を計測するアプリケーションの計測の結果は以下の通りです。 2.4GHz(802.11n) 54.82Mps 5GHz(802.11n) 185.6Mbs 5GHz(802.11ac)コンバータ 254.4Mbps 有線ギガビットLAN 922Mbps クライアントPCとWindowsサーバー間の計測で、それぞれ5回の計測の平均値を出しています。 有線LANはやはり安定して、900Mbps以上出ています。 2.4GHz帯は、他の無線LANアクセスポイントの干渉を受けて、かなり速度は遅いことがわかります。 802.11ac規格、イーサネットコンバータ経由で最大300Mbps出ましたが、平均すると250Mbps程度となりました。 有線LANの3分の1程度の帯域と言えます。 これは計測上のもので、ここから実際のデータを受け渡しするとなると、この通りの結果は出ないものと考えます。 引き続き、ファイル転送の結果を見てみたいと思います。 FTPの結果 FTPによるサーバーへのファイルのアップロードの転送速度です。 STORコマンド発行後ファイルを送信し始めたところからの経過時間と、転送ファイルサイズを割ったものを表しています。 これは一度のみの結果なので、ファイル転送時の電波の状態などにかなり左右されています。 2.4GHz(802.11n) 53.09Mbps 8.34Mbps 5GHz(802.11n) 151.56Mbps   5GHz(802.11ac)コンバータ 190.54Mbps 130.50Mbps 有線ギガビットLAN 374.66Mbps 444.60Mbps 2台のパソコンで計測し、1台は5GHzの無線アダプタを内蔵していないノートパソコンです。 結果はかなりまちまちですが、iPerfの結果ほどには有線LANとの差はありません。 ファイルのサイズは833Mbyte、802.11acのイーサネットコンバータ経由で35秒です。 有線LANでは15秒程度で、感覚で言えば、有線LANの2分の1というところです。 Windowsファイル共有の結果 2.4GHz(802.11n) 44Mbps 12Mbps 5GHz(802.11n) 288Mbps   5GHz(802.11ac)コンバータ 240Mbps 190Mbps 有線ギガビットLAN 640Mbps 505Mbps 転送したファイルと機械はFTPと同一の条件です。 ファイルをドラッグアンドドロップした状態から転送ダイアログが消えるまでの時間を計測しています。 Windowsファイル共有は、WindowsServer2008R2とWindows7以降との接続で、SMB2.1を利用した接続となり、ネットワークの帯域が広いほど、転送速度が目に見えて向上しています。 この計測のために、サーバーと他のパソコン間の通信を止めているわけではないので、無線の状況や、サーバーへのアクセスなどにもよって揺らぎがあります。 833MByteを転送するのに802.11acのイーサネットコンバータ経由で28秒ほど、有線LANでは10秒強です。 まとめ この有線LANとの2~3倍程度の転送速度の差を、使える、あるいは使えない、という判断は、それぞれの利用シーンや捉え方に応じて変化するものでしょう。 かつてギガビットの有線LANのない時代に、細々とした回線で通信していたことを思うと、筆者としては10年ひと昔の感があります。 無線で100Mbit有線LANをはるかにしのぐ速度で、ギガビット有線LANの3分の1ものスピードは、無線LANに求めているものをはるかに超えたものでしょう。 これだけの速度が常に出るのであれば、利用シーンによっては無線のみでコスト削減することを選ぶことも十分可能でしょう。 802.11ac規格のアクセスポイントは、11nのアクセスポイントとしても高速で、最新のスマートフォンやタブレットなども11n規格の無線通信で恩恵を受けます。 802.11ac規格の無線LANアダプタ搭載のノートパソコンが普及するまでは、まだまだ時間がかかりそうですが、このようなLAN間の橋渡しであれば、機器の普及を待たずに高速化のメリットを生かせそうです。 まだ802.11ac規格はdraftの状態ですが、これから発売される新しいパソコンなどにもアダプタが内蔵されて行くはずです。 将来的には無線でかなりのネットワーク部分を担当することができるようになりそうです。

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デスクトップから起動するようになったWindows8.1

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デスクトップから起動するようになったWindows8.1

Windows8の後継である、Windows8.1のプレビュー版が公開されています。 このWindows8.1で最も注目すべきと思われる、デスクトップからの起動について書いてみます。 Windows8.1プレビューのインストール http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows-8/preview-iso 上記アドレスから、ISOファイルを入手し、仮想マシンとしてインストールを行いました。 現在使っているWindows8をプレビュー版で上書きしてしまうのは、さすがに支障が出ると困ります。 Store経由であれば、回復用のメディアを利用すれば、上書きしてしまっても戻すことができるようですが、ISO版を利用して上書きしてしまった場合は、戻すことはできなくなります。 くれぐれも注意事項をよく読んで、影響のない範囲でインストールしてみることをお勧めします。 ついにデスクトップからの起動も可となったWindows8 今回、大きく取り上げられるのは、タスクバーにスタートボタンが復活したことでしょうか。 スタートボタンをクリックすると、標準ではタイル状のスタート画面に戻るだけで、スタートメニューは依然表示されません。 これを右クリックすると、シャットダウンや、コントロールパネル、タスクマネージャといった、システム的な機能に直接操作することができます。 ここでタスクバーを右クリックすると、 このようなタスクバーとナビゲーションのプロパティという画面が呼び出されます。 Windows8のころは、タスクバーのプロパティでありましたので、ナビゲーションというタブ自体が新設されたものです。 ここで「サインイン時にスタート画面ではなくデスクトップに移動する」というチェック項目があります。 これをチェックすると、起動時など、サインインした際にデスクトップから作業を開始することができます。 上記のような操作が可能になります。 またModernUIアプリ主体のスタート画面とアプリケーションの一覧であるアプリビューが分割され、スタートボタンを押した際に、スタート画面ではなく、アプリビューを呼び出すことができるようになります。 こちらがスタート画面、主にModernUIスタイルアプリという、Windows8と独自のフルスクリーンアプリが並びます。 こちらがアプリビュー。アプリの使用頻度や、アプリの名前順などでソートし、アプリを検索することができます。 かつてWindows95以降、慣れ親しんだスタートメニューはなくなってしまう方向性はこれで確定したように思いますが、ここ数か月Windows8を主として使ってきた筆者としては、デスクトップから起動するようになるだけでも、十分な恩恵があります。 それは、デスクトップから立ち上げたい、という要望を持った方に対して、タスクバーから設定できますよ、とお伝えすることができるようになったことです。 ClassicShellという拡張ソフトを入れて、という話をするのと、もともとの設定で持っているのとでは、意味合いは大きく変わってきます。 あとは、アプリビューを使いやすく並び替えることで、普段のデスクトップワークを行い、それらの用が済めば、たとえばキーボードとマウスを取り外して、タブレットとしてModernUIアプリを使う、Windows8でマイクロソフトの本来提示したかった、タブレットパソコンとしての機能を使いやすく分けることでできるようになりそうです。 従来のWindows8はStoreアプリの充実を待たずに、タブレットとしての機能を表に出しすぎていたために、従来のデスクトップを主として使うユーザーからの反発を招きかねないものとなっていました。 Windows8.1はWindows8ユーザーに無償でアップグレードが提供されるとのことですが、バランスよくユーザーインターフェイスがまとまったWindows8の上位バージョンとして、アップデートをお勧めできるものになりそうです。

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Squareカードリーダー

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Squareカードリーダー

スマートフォンによるクレジットカード決済サービス、Squareが日本でもサービスを開始しました。 これは上の使用例からもわかるように、非常に小さいリーダーをiPhoneなどスマートフォンのイヤホンジャックに接続し、磁気読み取り式でクレジットカードを読み取って、決済を行うことができます。 スマートフォンを通信と読み取り機に使うことで、別途カードリーダー、通信設備などを用意する必要がなく、簡易なレジしかない小売店舗や、飲食店などでも簡単にクレジットカード決済を導入することができます。 北米から事業展開が始まり、今年5月末より日本でも事業展開されるようになりました。 一度のカード読み取りによる取引ごとに、取引額の3.25%からが手数料として差し引かれます。 Square登場の背景 日本的な感覚で言えば、このようなよく理解できない機器を利用するよりも、おサイフケータイとFelicaリーダーのほうが安心なのではないか、という疑問がわいてきます。 確かにFelicaのような非接触型のICカードのほうが記録する情報を複雑にでき、通信経路の暗号化などにも安心感を持てます。 全国津々浦々のコンビニエンスストアのPOS端末でもそれができるのだから、というのは、日本独自の感覚です。 海外でもクレジットカード決済はさまざまな店で使われていますが、複写紙を利用するインプリンタという器具を用いる店舗も多くのこっており、そのためにクレジットカードからカード番号と契約者名、有効期限のエンボス(凹凸加工)がなくならない事情があります。 またレジも簡易な開閉機構しかないものが多く、計算機能も備えてない場合、店員さんがだしてきた計算機で、お金のやり取りを行うお店はかなりの割合であります。 日本のレジは通信機能、Felicaの読み取り、お札を入れるとおつりが出てくる自動入出金など、複雑で高価なPOS製品がかなり普及していますが、世界的に見て、珍しい一地域と言えます。 スマートフォンにNFCが標準搭載されても、世界のどこででも利用できるようになるまでには、まだまだ時間がかかる、という現状があります。 そんな中にSquareのようなスマートフォンと$10あまりの簡易なリーダーがあれば、クレジットカード決済を導入できてしまうというのは、技術革新と呼んでも差支えのないものでしょう。 Squareの技術 Square技術的なバックグラウンドについて、セキュリティ上あまり詳しく解説はしていませんが、カード読み取りにイヤホンを接続するオーディオジャックを利用するというのは、端末の低価格化にかなりの貢献をしています。 そもそも、かつてアナログ回線しかない時代は、音声を通じたデータ通信は当たり前でした。いまでもファクシミリを利用する場合は、雑音のようなデータ通信の音を耳にする場合もあるかもしれません。 iPhoneであればLightning端子、Androidであれば、MicroUSB等で接続する機器を考えますが、そのような構成をとれば、価格は現在の3~4倍、それにAppleであればサードパーティーのアクセサリとして、認可が下りるかどうか、というハードルがあります。 推測ですが、iPhoneアプリとカードリーダはおそらく音声によって、アプリとの通信を行い、カード情報を暗号化してやり取りし、それを3GやLTE、あるいはWi-Fiの電波を通じてカード決済センターに暗号化通信、決済の可否を通知する、という仕組みになっていると考えます。 このカードリーダーは単純な磁気読み取り装置ではなく、小型のコンピュータが内蔵されており、データの双方向通信を行えるものではないかと考えます。 リーダー-アプリ間の通信、アプリ-決済センター間の通信については、SSLや公開鍵暗号化など確立された技術が利用されています。 ただ技術的に暗号化がどれだけ可能であっても、それだけでは不正な決済を監視することはできません。 これについては、まず店舗従業員による、期限、名前の目によるチェック、スマートフォンのタッチパネルによるサインのチェック、あからさまに怪しい高額な決済については、カードリーダを通す前の人によるチェックになります。 センターに対して情報が送られた後は、クレジットカード決済センターには、普段通りでない異常なカードの利用を検出するノウハウを持っています。 不正な決済が行われた痕跡があれば、カードの利用停止などがおこなえる仕組みが出来上がっています。 機械の前後に、人によるチェックがあってこそ、このような簡易な機器によるクレジット決済が可能となるわけです。 ケーブルのないコンピュータ カードリーダーとの通信、タッチパネルによる認証コードの入力、センターと安全な通信機能があれば、カード決済機としては十分な性能を持つことができます。 今までは無線による通信については安全ではない等の理由で、有線の決済専用回線などを用意していたことなどを考えると、機器、通信インフラなど、導入にはかなりのイニシャルコストがかかっていました。 しかしスマートフォンが、これらの機能を十分備え、手のひらの上に収まってしまうオールインワンのコンピュータとして、通信ケーブルの届かないところ、電源の届かないところへコンピュータの能力を延長しています。 このようなモバイル機器の利用は、コンピュータの新たな可能性を感じさせます。 そもそも簡単な仕組みで、個人用でしかなかったパーソナルコンピュータが、現在のビジネスにおいて欠かせない機器になったように、スマートフォンやタブレットが新しいビジネスに取り入れられ、溶け込んでいく将来はすぐそこにあるように感じます。

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iOS7新機能にみるビジネス向け機能の強化

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iOS7新機能にみるビジネス向け機能の強化

米国時間6月10日午前よりのAppleのWWDC(開発者会議)でiOS7が開発中であることが発表されました。 受ける印象はiOSアップデート史上ないほどに大きく変わり、1ユーザーとしては、見た目や使いやすさに目が行くところです。 今回あまり大きく取り上げられなかった部分として、iOS7のビジネス向け新機能を考えてみてみたいと思います。 ビジネス用途のiOS iOSは個人向けのスマートフォンという一面を持ちつつ、企業向け(エンタープライズ)用途の機能を強化させてきました。 Exchange対応や、VPN通信、CalDAV、CardDAVへの対応など、ビジネスの1ツールとして取り入れやすくするための機能をいくつも持っています。 アプリなども、AppStoreで販売されていない、企業向けのアプリが作れる仕組みなどがあり、iPhone、iPadは画面サイズや製品更新サイクルなどがある程度安定しているので、安定したソリューションとして組み込みやすくなっています。 iOSで強化されるビジネス用途 StreamLined MDM enrollment より効率化されたモバイル端末管理。 複数台のiPhoneを管理するためのツールとしてAppleConfiguratorがありましたが、モバイル端末管理(MDM)が導入されることによって、より社内で利用する複数台端末の管理が行いやすくなると予想されます。 アプリのインストール、現在個人用途として提供されているFind My iPhoneや、リモートワイプによる情報漏えい防止なども集中的に行えるようになるのではないでしょうか。 iCloudなどもチーム向けや、企業向けのものが用意されるのかもしれません。 Per App VPN アプリごとのVPN(仮想プライベートネットワーク)。 これも推測ですが、現在iOSが一元管理しているVPNの仕組みを個別のアプリケーションで実装できるようになるのかもしれません。 VPNで社内と外出先を安全つなぐためにもいくつかの規格や実装があり、それをアプリごとに選択して組み込むことができれば、より柔軟にiPhoneアプリを社内の業務用サーバーなどと連携することができそうです。 Enterprise single sign-on 企業向けシングルサインオン。 社内システムなどでのユーザー認証を一度行えば、個別のサーバーやサービスに接続する際に、毎回の認証を行わずに済むものです。 これは先ほどの予想、チーム企業向けiCloudと連携し、パスワードを一元管理するiCloud Keychainとかかわるものかもしれません。 App Store Volume Purchase アプリの一括購入。 現在もAppStoreにはVolumePurchase(一括購入)の仕組みがありますが、登録申請などが必要で、より適用範囲が広げられれば、企業へのアプリ導入が容易になるでしょう。 Barcode ScanningとPassBookの強化 一部の店舗でiOS機器をレジや、決済用に使っている店舗もありますが、バーコード読み取りは専用のリーダーをつけたり、POSアプリの独自の実装となっていました。 これをiOSが機能として持つようになれば、お客様が差し出したPassBookクーポンをiPhoneで読み取り、料金の支払い、カード上の読み取り、という一連の流れがiOS機器だけでも完結できるようになります。 これは小売店舗や、飲食業でうまく利用できそうです。 まとめ 今回のWWDCのセミナーの中で、これらの機能についてのプレゼンテーションなどがあり、秋にリリースを迎えるまでに機能のブラッシュアップなどが行われていくはずです。 そのなかで詳細な機能について、明らかになっていくはずですし、より企業向けのiOSデバイス導入のきっかけになるでしょう。 華やかな見栄えのする新しいiOSに隠れた部分も、抜かりなく力を入れるのがAppleらしいやり方だと思います。

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Windows8とMountain Lionの操作の比較

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Windows8とMountain Lionの操作の比較

Windows8を自分なりに使いやすくする工夫をしているうちに、操作感覚がかなりMac OS X Mountain Lionに近くなってきました。 この点について、動画を交えて説明します。 Windows8のスタート画面に対する割り切り Windows8の好き嫌いが分かれる点として、そのタイル式のスタートメニューが挙げられます。 Windows7とのもっとも大きな差であり、起動時に目に飛び込んでくるものですから、Windows8の印象を決定づけるものです。 このスタート画面にはWindows8からプリインストールされているWindowsStoreアプリ、従来型のWindowsアプリのアイコン、新規にStoreからインストールしたアプリなどが混在しています。 筆者は数か月Windows8を利用する上で、いわゆるWindowsStoreアプリ、全画面起動するWindows8で追加された新規のアプリについては、一切使わないでも何ら支障をきたさないことがわかりました。 タッチパネルで利用しているわけでもなく、デスクトップパソコンとして、従来ながらのキーボードとマウスの操作ですので、WindowsStoreから新しいアプリを探す理由はあまりありません。 メールもプリインストールのメールアプリをつかわず、WindowsLiveメールをインストールして利用していますので、いっそのこと、とはいえデスクトップ版とは機能に違いがあるというInternetExplorer10だけは残しておくとして、後の使わないアプリは断捨離してしまいました。 するとこのスタート画面は一気に整理され、Mountain LionのLaunchpadとほぼ同じであるということがわかりました。 フォルダ分けができるLaunchPadと、グループで分けることができるスタート画面。 Launchpadはタッチパネル4本指ピンチ、スタート画面はWindowsキーで全画面に現れます。 この割り切りによって、スタート画面は使いやすいアプリケーションランチャーとなりました。 アプリケーション起動 動画で比較してみていただきました。 アプリケーションランチャとして、同じ感覚で使えています。 アプリが増えてくれば、一画面に収まらなくなりますが、使用頻度の高いものだけを1画面めに収めてしまえば、あまり苦にはなりません。 LaunchpadもiPad登場以降に、iPadから持ち込まれた機能として、OS X Lionに搭載され、最初はあまり使いやすくないイメージでしたが、Mountain Lionになってからはかなり使いやすくなりました。 かつてのようにDockにアプリケーションをたくさん並べて、アイコンが多すぎて小さくしか表示されない状態よりはLaunchpadの利用を進めた方が、がめんがすっきりすることもあります。 使用頻度に合わせて、タスクバーあるいはDockに置くもの、全画面ランチャーから起動するものと使い分ければ、日常の操作の導線が阻害されることはほぼありません。 むしろWindows8のスタート画面を整理してから、同一の感覚で使えるLaunchpadを積極的に使う傾向になりました。 タスクバー・ドック操作 こちらも動画で比較してご覧いただきました。 Windows7以降に、タスクバーとアプリケーションショートカットを融合させた、新しいタスクバーは、OS XのDockとほぼ同等のものになりました。 サイズの大小、設置場所、自動的に隠して画面を広く使うなど、機能としてもかなり同じです。 Windows7とWindows8でタスクバーの機能としては大きな差はありませんが、スタートメニューがなくなったことが、大きな差となりそうです。 スタートメニューのような機能ボタンが排されたことで、よりWindows8のタスクバーはDockに近づいた、とも言えそうです。 タスクトレイのような常駐ソフトとIMEコントロール、時計などはMacではメニューバーにありますので、差というとそれぐらいかもしれません。 タスク切り替え タスク切り替えについても動画でご覧いただけます。 Windows8では、タスクバーのマウスホバーか、ALT+TABキーの組み合わせの二種類となっています。 WindowsVistaや7にあったフリップによるタスク切り替えは、なくなっています。 フリップはマウスのスクロールホイールによって切り替えるものですので、タッチパネル操作では使用できないものです。廃止された理由はわかりやすいです。 Mountain Lionではコマンド+TAB、Dock以外にも、MissionControlやエクスポゼなど、起動中のすべてのアプリを一覧できる形のタスク選択機能を持っています。 この辺りはLion以降に強化された部分で、MissionControlで仮想デスクトップにアプリケーションを割り当てる機能は、ごちゃごちゃとデスクトップにウィンドウが散らばっている状態を整理するのに便利な機能です。 逆に言えば、そのデスクトップにごちゃごちゃしたウィンドウ、という状態を極力持たせないタブレットパソコンとして、Storeアプリのような全画面アプリを押しているので、そのような機能を持たせることでWindows8の方向性がぶれてしまうのは、あまりよくないといえそうです。 まとめ あくまでWindows7風に変更を加える機能拡張を入れるというカスタマイズを行わずに、どこまでWindows8を使いやすくできるか、という工夫を重ねるうちに、非常にOS Xに近い使い心地のものとなりました。 タブレットPCとしてWindows8を使っていれば、このような形に落ち着くことはないのかもしれませんが、従来のようなマウスとキーボード作業が中心のパソコンとしては、このような形も一つのあり方と考えていただければと思います。 これまでWindowsを利用する上で、必要なアプリケーションをインストールする以外の変更はあえて行わず、基本的に初期設定のままで使うことが常でした。 あまり大きな変化を加えてしまうと、Windowsの初期状態ではどのような設定になっていたかがわかりづらく、ヘルプを求められたときに即答できなくなってしまうためです。 しかしWindows8ではかなり自分好みに変更を加えています。 タブレット、タッチパネルノートPC、従来型の据え置きPCとさまざまな用途で利用されることを想定して、かなり欲張りな機能の盛り込み方をしていますので、どうしても自分の用途に合わせた絞り込み、というステップが必要になりそうです。 そのままの状態では、あまり導線が整理されているとはいいがたいものがありますので、このワンステップをできるかどうかで、散漫なWindowsか、機能強化版のWindowsか、という評価が分かれそうです。 せめて、タブレットもデスクトップも同じ設定ではなく、ある程度機器の形態に合わせた初期設定というものがあればいいのではないかと思うところですが、Windows8.1という後継OSにそのような機能が搭載されることを望みつつ、今回の記事を終えることといたします。 関連記事 Windows8カスタマイズの記事は過去にも何点か投稿していますので、併せて読んでいただけると幸いです。 Windows8のデスクトップにプログラムメニューをシンプルに追加する 実は使いやすかったWindows8 Windows8の画像表示を好きなアプリに変えるには Windows8にシャットダウンのショートカットを作る

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Surface Pro日本発売決定

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Surface Pro日本発売決定

マイクロソフト社から正規Windows8搭載版のSurface Proが国内発売されることが発表されました。 http://www.microsoft.com/surface/ja-jp/surface-with-windows-8-pro/home このSurface Pro国内版は、全てのラインナップにOffice 2013 Home&Businessが搭載され、バリエーションとしてSSD256GBを選ぶことができるようになっています。 WindowsRTとは違い、従来のWindowsアプリケーションも動作しますので、タッチパネル付きのWindows8のパソコンとして使用することができます。 価格について SSDが128GBモデルが99,800円、256GBモデルが119,800円となっています。 これに薄いタイプのタッチカバーが9,980円。キータイプ感のあるタイプカバーが10,980円。 充電用電源ケーブルはWindowsRTと違い標準で付属するようです。 米国での発売価格は128GBで$999、64GBで$899、これにOffice 2013 Home&Businessが付属しますので、米国発売価格に比べて、およそ25,000円程度は安いという計算になります。 (※他社ノートパソコンではOEB版Office Home&Businessが付属すると、およそ25,000円程度の価格差となる為) この価格帯はタブレット市場を目指したものではなく、あくまで薄型ノートブック、ウルトラブック、MacBook Airの市場を意識した価格でしょう。 実際にMacBook Airの11インチに256GBのSSDを搭載した場合は、116,400円となりますので、これに正規Windows8とOffice2013をつけたものとして、競争する考えではないかと考えます。 マイクロソフトはWindowsとOfficeの開発元ですから、Officeを販促用として搭載することは、判断として間違ったものではないと思われます。 米国版と日本版の差について SSDの増量などは、発売時期の差というものもありますが、現時点でWindows8.1の登場が予告されていますので、64GBモデルの発売を見送るのは、ほぼ当然といえます。 Windows8.1へのアップデートの際は、現在搭載されているシステム状態に復元できる状態を保存してからのアップデートとなると考えられますので、SurfacePro64GBモデルで、ユーザー使用可能領域が25GBにも満たないないことを考えると、ユーザーデータが数GBはいっているだけでも、アップデート不可能となる可能性もあります。 一般のタブレット機であれば、128GBといえば音楽やビデオなど、メディアファイルを転送しても十分なデータ保存領域になりますが、Windows8はフルサイズのパソコン用OSですから、タブレット機とシステム領域の大きさは歴然としています。 入出力端子 USB3.0ポートが一つついていますが、タッチカバーやタイプカバーに付属している小さめのタッチパッドが合わない場合は、マウスを使うことになります。 Bluetoothが標準搭載されていますので、Bluetoothマウスを使うのが正しい選択ですが、有線マウスをUSBポートにつないでしまうと、拡張性はほぼなくなってしまいます。 最大の売りであるOfficeはやはりマウスなしでの操作は難しく、また画面タッチとキーボードの行き来はマウスとキーボードの利用に比べても面倒になりますので、集中してOffice作業をしたいのであれば、マウスを購入するのは必須と言えるでしょう。 また従来のWindowsアプリケーションも基本的にタッチ操作については考慮されていませんので、Surface Pro購入の際は、少なくともBluetooth対応マウスを購入する必要があると考えます。 USB3.0が1ポートのみというのは、USBハブで接続台数を増やすことができるとはいえ、USBハブを利用するとせっかくのコンパクトさが無意味になってしまいますので、よく考慮しておくべき点でしょう。 Windowsタブレット、ノートパソコンと比較して Surface ProはメインストリームのCore i5を搭載しているので、他社のWindows8タブレットで半額ぐらいのものと比較するのは、あまり正しい比較にはなりません。 ノートパソコンと比較すれば、ほぼ同性能のウルトラブックが、OfficeのグレードをPersonalに落とせば、同じぐらいであります。 Office分SurfaceProの方が有利な部分もありますが、フルサイズのWindowsの機能がほしい場合は、素直にノートパソコンを選んだ方が、従来慣れ親しんだ感覚で使うことができそうです。 Surfaceはそのコンパクトさを活かすことで、最大限のメリットを生み出せそうです。 持ち運びが多く、重量は少なく、コンパクトな方がよい。また入力することよりも、閲覧、チェックをすることの方が多い。ただOfficeファイルを多く取り扱うのでタブレットでは要求を満たさない、という方にはSurfaceProはお買い得感があります。 OfficeもPowerPointつきのHome&Businessが選択されているのは、ビジネスユースのプレゼンテーション用途を意識したものといえるでしょう。 パーソナルユースのタブレットとはちがう、仕事にもつかえるタブレット、というコンセプトが、従来型のノートパソコンと比べて、どれほど需要があるのか興味がひかれるところです。 関連記事 マイクロソフトSurfaceの日本発売を予告 Surface with Windows 8 Proの北米での発売日決定 Windows8とWindowsRTの違い SurfaceRT日本で3月15日に発売

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ウルトラブックってなんですか

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ウルトラブックってなんですか

ウルトラブック(UltraBook)はCMでよく耳にする言葉ですが、いったい普通のノートパソコンとどう違うのか、ということはCMだけではわかりにくいものがあります。今回それを簡単に解説してみます。 ウルトラブックとは ウルトラブックとは、Intelが提唱する新しいノートパソコンの形で、軽くて薄くて持ち運びが簡単、バッテリの持続時間がかなり長く、最新のCore iシリーズを搭載したノート型パソコンです。 ほとんどの場合、13インチ以下のディスプレイを採用しておりさまざまなビジネスバッグに入りやすく、電源オフををせずに、閉じた状態からの復帰も数秒で可能、閉じた状態ではほとんど電力を消費しないなど、可用性を重視しています。 さらに、プロセッサはIntelの最新の主力製品を利用していますので、オフィスをはじめとする日常的な用途には全くストレスを感じることがないでしょう。すこし購入資金を追加すれば、SSD(フラッシュメモリー型ディスク)搭載でハードディスク搭載モデルを超えた高速さを手に入れることができます。 価格的には10万円~15万円ほどで、再安価なノートパソコンに比べると、すこしお値段は張りますが、性能から考えると高価すぎるということはありません。 いまなぜこのウルトラブックをIntel社はプッシュしているのでしょうか。 ウルトラブックまでの道筋 ネットブック時代 ネットブックは省電力なプロセッサを搭載した、かなり小型かつ安価なノート型パソコンで、7インチ程度のディスプレイを備え、Windowsが動作するもの、と考えていただければわかりやすいです。 価格帯としては5万円ぐらいのものが多かった印象です。 台湾ASUSが2007年に発表したEeePC(イーピーシー)がネットブックブームの始まりでした。 EeePCはそもそもパソコン普及率の低い新興国向けに作られたパソコンでしたが、その安さ、携帯性の良さから、ビジネスなどにも取り入れられ、ほとんど荷物にならないことで、かなりの人気を集めました。 国内各社もこのネットブックをさまざまに発売し、当時ノート型パソコンの販売シェアのなかでも大きな比率を持っていました。 購入するまでは、もうウェブブラウザ、電子メール、Officeなどの日常的で持ち運ぶような用途は、すべてこのネットブックでまかなえてしまうのではないか、と考えた人も多かったのです。 しかし問題がありました。PC本体が小さく、軽い分、バッテリを多く搭載できなかったので、多くのネットブックは省電力性を重視したAtomプロセッサを搭載しました。 Intel Atomプロセッサはかなりの省電力ながら、その他Intelのプロセッサと同じWindowsやアプリケーションが動作しますので、それまで使っていたパソコンのソフトがそのまま使えるのがメリットでした。 しかし省電力のために処理速度を犠牲にしていましたので、Officeなどを使用する際にもストレスを感じるような機種が多くありました。 またディスク容量、グラフィック性能を落としたモデルが多かったので、当時販売終息しかけていたWindowsXPを搭載したものもありましたが、2001年にリリースされたWindowsXPは電源などの管理が細かくできなかったため、結局のところその省電力性を活かしきることができなかったのがストレスの一因でもあります。 そのため、多くの人がこのネットブックに不満を持つようになりました。 MacBook Airの登場 Appleが超薄型で、11インチからの小型ディスプレイを備えているMacBook Airを発表したのが2010年でした。 価格的にはほぼ9万円からとネットブックから比べれば、倍近い価格でありながら、ネットブックとは操作感覚に格段の差がありました。 全ての機種でSSDを採用し、起動は高速、プロセッサも廉価版ではなく、省電力版の主力製品を投入しています。 電源管理も最新で、スリープからの復帰は早く、ノートパソコンを閉じておけば、30日間はバッテリ容量が保持されました。 筐体もアルミ削り出しで、ネットブックなどのプラスチック筐体に比べて高級感があり、BootCampを用いればWindowsも動作しましたので、Apple製品でありながら、Windowsパソコンとして利用されることも多かった印象です。 AppleはAtomやCeleronなどの低価格ラインナップを利用しない方針ですが、主力製品のプロセッサを投入している同クラス製品としては、割高ということはあまりありません。 このネットブックとは全く逆といっていい方針で開発されたMacBook Airは世界中で大ヒットし、ネットブックの市場はほぼ消えてしまいました。 筆者はネットブックへの失望というステップがなければ、ここまでのヒットにならなかったのではないか、と考えています ウルトラブックの登場 MacBook AirはCore2Duoの省電力機能を最大限活かすためにMac OS Xを最適化していました。これはソフトハードを同時に供給できるAppleの強みの一つです。 その後発売された第2世代Core iシリーズ以降では、処理能力を向上させつつ、省電力性を重視して開発され、これを用いたウルトラブックというカテゴリを作り、PCメーカと協調して売り出すことにしました。 WindwosVista以降では、スリープなどの電源の管理が上手にできる仕組みを持っていますので、Windows7と第2世代Core iシリーズを組み合わせたウルトラブックを主力なノート型パソコン製品に押し出し始めました。 WindowsXP+Atomというネットブックからの軽量ノートPCの悪いイメージを払う意味合いもあり、Intel搭載製品のブランドイメージアップも戦略の一つと思われます。 第3世代Core iシリーズではUSB3.0が搭載され、USB接続ハードディスクなどとの接続スピードも向上しました。 来月以降に控えている第4世代Core iシリーズでは更なる消費電力の低下と、グラフィックス性能の向上が予告されています。 ウルトラブックの課題 ウルトラブックの課題としては、現在台頭しているタブレットとの競合です。 そもそもキーボードを持たないタブレット型コンピュータに比べれば、従来通りの利用法ができるウルトラブックのほうがはるかに有利な点がいくつもあります。 パフォーマンスなども桁違いであり、タブレット型コンピュータでフルスペックの Officeソフトが利用できる製品はわずかです。 しかしタブレット型は新奇性だけではなく、一般的な利用者にとって最小限度の機能に抑えている分、3~5万円ぐらいがボリュームゾーンとなっており、タブレット購入者はウルトラブックがオーバースペックと感じる人がほとんどです。 全体的なパイとしてはタブレットを求めている方の方が多いなかで、ウルトラブックが存在感を示していくためには、まだまだアピールできる部分もあるのではと考えています。 これからはWindows8搭載によるタッチスクリーン、高解像度化と、ウルトラブックにも変化が訪れると考えられますが、それがタブレットの競合相手としてのウルトラブックに本当に必要なものか、という点を考えてみなければいけないと感じます。 高性能なパーツを用いて、利益率の高いハードを作りたいメーカーの気持ちも理解できますが、コストパフォーマンスという点で魅力がなくなってしまうと、ウルトラブックの価値は下がってしまうかもしれません。 今後の製品ラインナップの移り変わりを見ていきたいと思います。

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Windows8のデスクトップにプログラムメニューをシンプルに追加する

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Windows8のデスクトップにプログラムメニューをシンプルに追加する

windows8はデスクトップからスタートメニューがなくなってしまい、エクステンションなどをインストールすることによって追加することができますが、単純にプログラム起動のショートカット集がほしい場合に、一番シンプルな方法をご紹介します。 ツールバーにプログラムフォルダを表示させる ものすごく簡単です。表題だけでわかる人はわかってしまうと思いますが、簡単に説明しますと、下記の通りです。 プログラムフォルダは下記の場所にあります。 C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs これをツールバーに追加すれば、タスクバーにプログラム一覧が表示されます。 既存のツールバーを右クリックして、ツールバーを選択します ツールバーから新規ツールバーをクリックします。 フォルダ選択画面になりますので、Cドライブ-Program Data-Microsoft-Windows-スタートメニュー-プログラムと辿ります。 フォルダーの選択をクリックします。 このような形でプログラム起動のショートカットメニューが作られます。 筆者的にはこれでスタート画面に戻る必要はほとんど感じなくなっています。 コントロールパネルなどもタスクバーにピン止めしておけるので、デスクトップから辿らねばならないものはほとんどありません。 筆者は、Macでのよく使うアプリは、Dockにいれて、頻度の高くないアプリはアプリケーションフォルダか、LaunchPadから起動するというフローとほぼ同じ形に持っていけて、個人的には十分満足しています。 昨日されたWindows8.1には従来型のスタートメニューが戻るかもしれない、という噂もありますが、それはまた6月待つのパプリックプレビューバージョンを楽しみに待ちたいところです。 追記 上記の方法は全ユーザーで使用できるスタートメニューのみで、各ユーザーごとに作成されたショートカットは使用できないことをご指摘いただきました。 これを多少応急処置ですが、どちらも使えるようにしてみたいと思います。 まず、個別ユーザーのショートカットは C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs に収められています。 ここにエクスプローラーで移動し、管理者権限でコマンドプロンプトを開きます。 ここでAllusersという名前でC:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programsにシンボリックリンクを作成します。 mklink /D allusers “C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs” これでallusersという名前のフォルダが作られ、全員のショートカットとつながりました。 このフォルダを上記同様に、ツールバーに登録します。 コマンドプロンプトを普段使われない方にはちょっと敷居が高いように思いますが、一つの方法として参考になるようでしたら幸いです。

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Adobe製品ラインをCreativeCloudに一本化へ

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Adobe製品ラインをCreativeCloudに一本化へ

AdobeがCreativeSuiteの新規製品投入をやめ、CreativeCloudによるサブスクリプション(購読)形式への一本化を行うことを発表しました。 これにより、パッケージでCreativeSuiteを購入することはできなくなりますが、月額で使用料を支払えば、常に最新バージョンのPhotoshopやIllustratorを利用することができるようになります。 製品バージョンアップというモデル 商用ソフトウェアが発表されると、マイナーバージョンアップという小規模なバージョンアップや、バグの修正を行いつつ、次のメジャーバージョンに開発資源を投入していくという形がとられていました。 WindowsなどのOSをはじめ、さまざまなソフトウェアがこのモデルをとっています。 定期的なバージョンアップを行うと、すべて最新のバージョンを追いかけるユーザーと、現行十分な機能を持つ旧バージョンを保持するユーザーに分かれます。 Windows8が発売された現在も、WindowsXPを安定したバージョンとして使い続けている方が多くいらっしゃるのと同じ構図です。 ですので開発にかけた資源がすべて利益として見込めるわけではありません。その分、一つ一つのパッケージ価格に上乗せするという必要があります。 すべてのユーザーが同時期に更新するという見込みがあれば、パッケージ価格もそれなりに抑えることもできるでしょうが、とくにCreativeSuiteのような高額なパッケージの場合、買い控えを行うユーザーもかなりの割合でいました。 そういった点で購読モデルをとれば、買い控えということは発生しないのでメーカーとしても開発費用を回収する見積もりがしやすくなります。 こういった方向性への模索は、さまざまなソフトウェアメーカーで行われていますが、主力商品をすべて購読制にしたAdobeはかなり先鋭的な方針を示したといえます。 購読制にすることによるメリット アプリストア登場以来、プロダクトキーやシリアル番号によるライセンス管理という方法は時代遅れとなりつつあります。 メールやストアアカウントに紐づいたライセンス管理は普及しつつあり、Office2013でもMicrosoftアカウントのメールアドレスによるアクティベーションが可能となっています。 先日、AdobeCreativeSuite2のアクティベーションサーバーの停止に伴う、無償化というデマが流布したこともあります 過去記事:Adobe Creative Suite2について https://www.sys-cube.co.jp/1719 この一件で驚いたのは、CreativeSuite2のアクティベーションサーバーにコストを割き続けていたということです。 確かに一度作りこんでしまえば、あとは運用だけかもしれませんが、電力、機材更新、障害対応人員など、コストなしで運用できるものではありません。 このサーバーがなくなっていまうと、動作しない仕様のソフトウェアであれば、バージョンごとにサーバーを運用し続けなければならなくなり、それだけ維持コストが必要となります。 購読制であれば、このアクティベーションの仕組みも一元化でき、また現在課金中のアカウントでなければアクティベーションできない、という形のほうが運用も楽になります。 高額なソフトウェアであれば、不正なシリアルや、ライセンス条項に反した譲渡や再販などが付きまといますが、これらを排除できることは大きなメリットでしょう。 開発資源の分散 もう一つの要素として挙げられるのは、ソフトウェア産業はスマートデバイスへの対応も現在見出していかねばならない一つの課題である、ということでしょう スマートフォンやタブレットは、フルセットのCreativeSuiteを動かすためにはパフォーマンス不足ではありますが、ユーザー数の多さにおいては無視できない存在になっています。 パソコンにおいてデファクトスタンダードとなっているAdobeのツールも、スマートデバイスでも確実に業界標準を握れる、という世界ではありません。 逆に出遅れてしまうことで、スマートデバイス主導で出てきた同ジャンルのアプリが、パソコンのほうでもシェアを伸ばしていくという可能性さえあります。 現在技術やノウハウにおいて、一歩ぬきんでている状態で、スマートデバイス市場への参入を行えば、後発勢と差をつけた状態で事業を始めることができます。 そのようなタブレット、スマートフォンの市場がCreativeSuiteのようなソフトウェアを求めているかどうかの答えが見えるのは、まだまだ先になると考えますが、Adobeとしても抑えておくべきポイントと考えているようです。 実際にCreativeCloudには、Photoshop TouchなどのiPadアプリとの連携という機能も備えています。 Adobeもこれからの市場、タブレットなどにおいての基盤を確かにしていくためには、製品ラインの統合と合理化を進める理由があったのではないかと考えます。 ユーザーとしての受け止め方 月額制となっていますが、おそらくCreativeSuiteを、使いたい月だけ使う、という使い方を望まれているユーザーは少ないと思います。 アマチュア向けの価格としてはかなり高価ですので、業務用途がシェアのほとんどでしょうし、業務用途であれば、常に手元になければ使えない、ということになります。 一ライセンス年間6万円~が安価かどうか、という見方は、利用頻度によってまちまちだと思います。 かつては20万円からの1パッケージを購入すれば、OSやパソコンが対応している限り、5年でも10年でも使えたという感覚でいくと、確実に高くなっていると言えるかもしれません。 パッケージが手元に残らない、という形に不安を抱かれるユーザーも多くいらっしゃるでしょう。 ソフトウェアはパッケージでなく、利用権を買うだけ、という形は、旧来のユーザーほど不満があるでしょうが、現在の各アプリストアではその方式をとっています。 筆者としては、逆にこの販売方式になることで、Adobe CreativeSuiteの費用対効果が明らかになったと考えています。 簡単に言えば、年間6万円の価値があるかどうか、という判断で使う使わないを判断できるのではないでしょうか。 とりあえずAdobeにしておけば大丈夫、というアバウトな感覚よりも、コスト感がつかみやすいと感じています。 PhotoshopやIllustratorについ ては、単体製品の購読という形も取られるようですので、より一層わかりやすくなると考えています。 メジャーバージョンアップに備えて予算を組む必要があった現在よりも、より見通しを立てやすいというところがありますが、それは導入規模等によっても意見が分かれるところかもしれません。 大規模導入が必要な場合は、必要台数だけ最新、その他は旧バージョンを維持など、段階的にバージョンアップしていけましたが、購読制であれば、バージョンアップ費込の月額料金を支払う必要があります。 このAdobeのCreativeCloudへの一本化がどうユーザーに捉えられるのか、今後のソフトウェア業界の一つの指針となるのではないでしょうか。

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