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Appleが今年度第3四半期の決算を発表し、業績を発表するとともに、各製品の販売台数なども明らかにしました。
iPhone、Macは販売台数をのばす一方、iPadは前年度同期を、100万台あまり減らしています。
これはiPad自体に勢いがなくなった、という事ではなく、競合が多い、と考えられます。
どのようなものがiPadの競合として登場しているのでしょうか。
日本ではようやく発売が決定された、GoogleのChrome OS搭載のChromebookは$300~500を価格の中心に据えた、格安のノートパソコンです。
米国ではシェアが急増しており、前年度比の伸び率も非常に高いです。
Googleが開発したLinuxベースのChromeOSが搭載されており、基本的にすべてのアプリをブラウザのChromeで利用するといったものです。
GoogleはChromeOSをGoogle AppsなどGoogleサービスの利用拡大に繋げたい意図がありますので、OSのライセンス料金は無償か僅かでしょう。
Chromebookは米国ではWindowsXP乗り換え需要にもうまく乗る事ができ、企業などへの大量導入も行われています。
Google Appsでオフィスワークがある程度完結できるようになれば、$800~$1000ドルのMS Office付きのWindowsパソコンのシェアを切り崩し、Officeも事実上の標準の立場を後退させる事になります。
事実Chromebookでパソコンで行いたい事はほとんどできてしまう方もいますので、そういった方はWindowsの必要性を今後感じなくなるでしょう。
これに対抗するようにマイクロソフトもWindows 8.1 for Bingというライセンス料金0のWindows搭載パソコンの出荷をはじめています。
これはInternet Explorerの標準検索エンジンをマイクロソフトの提供するBingに設定している(変更可)という部分以外は、ごく普通のWindows8.1を搭載しています。
ですので、旧来のWindowsアプリケーションや、Windows Storeアプリケーションはそのまま使う事ができます。
Windowsパソコンが、Chromebookでシェアを落とさない為の対抗策として作られたものでしょう。
Windows8の評判が芳しくない事と、Chromebookの登場、そしてタブレットの台頭のタイミングが重なったことで、存在感を失ってしまわない為の施策と考えられます。
Windowsであれば、以前に購入したソフトや周辺機器など、過去の資産を活用できるユーザーのメリットがあります。
Chromebookやタブレットであれば、一からソフトや周辺機器をそろえる必要があり、価格は安くても、ある程度の追加出費は避けられません。
本来、ノートパソコンとタブレットは、競合にならないものだと筆者は考えています。
ただ今のところ、価格帯や用途として重なる部分が多い為、安価なノートパソコンとタブレットがモバイル機として分類され、その中での選択になるのでしょう。
iPadはタブレットの中ではあくまでハイエンドのもので、価格としてもタブレットの中では高価な側に入ります。
iPad Airなら$500~$900ドルの価格帯の製品ですので、前述の格安ノートパソコンであれば、二台購入できる位のものです。
Appleは廉価版でシェアを稼ぐという戦略をとらないので、今後もこの価格帯は維持されるでしょう。ハードの利益を低下させる戦略を当面Appleはとるつもりはなさそうです。
Androidタブレットなら$300前後、Windowsタブレットであれば$400~500が中心の価格帯になります。
ハイエンドのものを誰もが選ぶという事は、ほとんど前例がありません。一過性のブームが過ぎ去れば、やはりエントリークラス移行の製品がもっとも販売ボリュームが大きいのが通常です。
パソコンが汎用品となりローエンド製品がシェアのほとんどを占め、利益率が低下した事で、かつて大きな核であったパソコン事業から撤退したIBMの例があります。
現在タブレット業界をリードするAppleはこのIBMと業務提携し、企業向けの販路を拡大していくという報道がありました。
iPadはタブレットとしては高価でありながら、品質とラインナップをApple自身でコントロールする事を最大の強みにしています。
格安の汎用品とならず高い利益率を出し続ける製品として、今後も様々な試みが行われるものと考えます。