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2014年Apple社のWWDC(全世界開発者カンファレンス)が6/3日本時間深夜に開始され、恒例のキーノートスピーチが行われました。
かつてスティーブ・ジョブズ氏がiPhone3Gを発表するなど、今後のAppleの経営方針や、新製品の発表などで注目を集めるイベントです。
今回はiOS8やMac OS X YosemiteなどOSやソフトウェアの更新についての発表がほとんどでした。
また即日公開されるものはなく、秋頃のリリースと公表されたのみです。
近年WWDCではソフトウェア部分の発表に留まる事は多くなってきており、イベント名が開発者カンファレンスですから方向性としては正しいものの、大舞台での新製品iPhoneの登場を望む人は多くいますし、肩すかしの印象を受ける事もあります。
2013年のWWDCも同様にiPhoneについてはiOS7の発表に留まり、ハードについてはハイエンドのMac Proなどが発表されたに留まりました。
iPhone6と思われる新型はiOS8と次期を同じくして、今秋の発表となるのではないでしょうか。今回は現状のiOSデバイスについて更新される機能のみを公表したものでしょう。
新型のiPhoneが独自に持つハード的な新機能については、新機種の発表会までは公表せずサプライズ的に発表されますので、iOSにはまだまだ未公表の新機能があるだろうと考えています。
iPhone5sに搭載されたTouchIDなどは、2013年のWWDCでは存在しないかのように扱われていました。
Appleはハードウェアの会社なので、新しいiPhoneをはじめとしたハードウェアを売り込む為の様々な魅力は当面隠されたままでしょう。
オーディオメーカーBeatsの大型買収や、健康管理のHealthや家電操作のHomeKitについては、今後のハードウェアの新規発表に何かしらの形でつながりそうです。
MacについてはiOSとの電話やメッセージ、ファイル共有の機能統合が進められ、MacとiOS機器とのエコシステムの強化が図られた印象です。
今回iOSはアプリの連携、通知センターヴィジェットの追加、サードパーティ製ソフトウェアキーボード、TouchID(指紋認証)のアプリへの解放など、様々な開発者向けの発表がありました。
これだけでもAndroidでしか機能的に実現できない事を理由に開発されなかったアプリをiPhoneに呼び込む事ができます。
今回の発表のなかでも大きなものはSWIFTという新しい開発言語の発表です。
iPhoneは現在まで実質Objective-Cというメジャーではなく、幾分文法の古いプログラミング言語でしか開発が不可能でした。
このSWIFTは独自の規格ですが、現代的なプログラミング言語の要素を持ち、可能な限りシンプルで素早い開発が可能なものです。
このSWIFTの開発は、今回の発表の中でも最大の開発要員と期間をつぎ込まれたものだろうと思われます。
これらはiOSやMac向けアプリに開発者を呼び戻す為のApple社の戦略でしょう。
アプリストアの売り上げは利益としては十分出ていますが、アプリ内課金や、iPhone、Android両対応の商業的な大規模プロジェクトのものしかユーザーに利用されなくなっています。
アプリはiPhoneのユーザーが少なかった頃は、アイデアさえあれば個人でも世界中のユーザーの注目を集める事ができ、マネタイズのできる画期的な仕組みでした。
しかし個人のアイデア一つのものよりも、LINEや、無料提供の作り込まれたゲームなどプラットフォーム的なものを企業がお金をかけて作成し、アプリ内での課金を行う事で収益を上げるモデルがアプリの売り上げの大きな割合を占めるようになりました。
スマートフォンアプリがある意味マスメディアのようになってしまい、かえって多様性がなくなってきた現在、この開発者向けの機能強化がよりiPhoneやiPadの魅力を強化させるための戦略として打ち出されたのでしょう。