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パソコンをビジネスの現場で使う事は、ごくありふれた事になりました。
コンピュータは銀行や政府機関、大企業の業務システムとして1960年代から既に利用されていましたが、一般企業のオフィスで見かけるようになったのは1990年代の後半からです。
パソコンは80年代から一般家庭向けにも存在しましたが、当時は仕事にはつかえない、とほとんどの方が判断したため、オフィスで頻繁に見かける事はありませんでした。
この区切りはどこにあったのでしょうか。
そしてクラウドが使える、という区切りはどこにあるのでしょうか。
パソコンが仕事につかえるようになった流れの中で、32ビットのパソコンが登場は、大きな節目となりました。
インテルが80386という32bitのプロセッサをリリースし、それを搭載したIBMのパソコンPS/2が現在まで続くWindows搭載パソコンの源流となりました。
いまでもキーボードなどのPS/2端子といった言葉に名残があり、日本ではDOS/Vなどと呼ばれた事もあります。
それまでの業務コンピュータと、16bit以前のパソコンの間には、価格も大きな差がありましたが、性能的にも大きな差があり、大きなデータが扱えない、高速な処理ができないなど、様々な壁がありました。
16bit以前のパソコンであれば、ワープロもライン出力のプリンタを使うもので、現在のようにグラフィックスや写真を文書内で取り扱う事もできませんでした。
伝票などを打ち出す用途などには利用できましたが、あまり多くの用途には対応できないもので、それを数十から数百万円かけて購入するのであれば、手書きの方がよい、という判断も妥当な時代です。
32bitの時代になり、IBMのPS/2がスタンダードな規格として普及し始めて数年後、1995年に32bitのWindows95がリリースされ、ワープロ、表計算など能力が向上しパソコンはビジネス向けの機器として受け入れられるようになりました。
この流れの中で少なくとも2000年前後にパソコンは使える、として多くの企業が導入し始めました。
このように歴史を追えば、使えない時代からなにか技術的な節目があって、使える時代に変化する流れをたどる事ができます。
クラウドのようなネットワーク越しにコンピュータを利用する考え方は、例えば1995年にOracleが提唱した500ドルパソコンというものがありました。
500ドルパソコンはネットワークからアプリケーションやデータを利用する形にすれば、パソコンとは違ってハードディスクなどの記憶装置を組み込まず、安価にコンピュータを導入することができるだろう、という考え方でした。
しかし当時ネットワークの通信速度が遅かった事や、パソコンが急激にシェアを増やした為にパソコン自体が安くなってしまったので、500ドルパソコンは実現しませんでした。
ネットワーク通信速度が遅かった事に加え、サーバーに多くの機能を割り振ってしまうと、サーバーが故障してだれも利用できなってしまうことも考えねばなりません。そのためネットワークにすべて預けない、リスクをのせる必要がありました。
結果ブラウザ依存や、追加プログラムのインストール、プラグインなど使い勝手を追求すればするほど、パソコン側に多くのものを必要とするような流れがありました。
従来のサーバーからクラウドのもっとも大きな変化は、障害にとても強いという事です。
それまでのサーバーであれば物理的な故障は必ず想定しなければなりませんが、クラウドのサーバーは仮想化によって、システムの停止の影響は最小限に抑える事ができるようになっています。
前述の500ドルパソコンは実現する事はなかったと書きましたが、タブレットという形で、現在多く普及しています。
タブレット自体はパソコンほど高性能ではありませんし、記憶容量も少ないですが、主にネットワーク越しにクラウドのデータやサービスを使う事によって必要なものを共有して利用する事ができます。
現在はLTEやWi-Fiなど高速な無線ネットワークや、インターネット接続が光ファイバーで高速化されていること、またサーバーの耐障害性が向上する事で、このような仕組みが現実化するようになりました。
そして電源ケーブルから解放されたコンピュータはスマートフォン、タブレットなどの形で外出先や望む場所からコンピュータを利用できる事を可能とするようになりました。
スマートフォン、タブレットを効果的に使うにはクラウドが必要ですし、クラウドはスマートフォン、タブレットの普及に応じてシェアを伸ばすという、お互いを必要とする関係があります。
この流れができている事、スマートフォン登場からちょうど7年、それを大きな節目として、クラウドは使えるという判断を行う理由です。