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NUCの組み立て編に引き続き、超小型パソコンのコスト感、パフォーマンスなどなどについて、思いつくところを書いてみたいと思います。
今回セットアップしたIntelのベアボーンキットは下記のような機器構成になっております。
プロセッサ 第3世代Core i3-3217U(2Core 4Thread) 1.8GHz
グラフィック HD4000
メモリ DDR3 8GB
ストレージ SSD 256GB
Wi-Fi、Bluetooth付き。
このPCにWindows7をインストールし、エクスペリエンスインデックスを計測してみます。
CPUはCore i3のノート用低電圧版を利用しています。
ファンは内蔵されていますが、筐体が小さく、排熱のために大きなスペースを割けないため、デスクトップ用のCPUの搭載は難しかったものと思います。
グラフィックはCore i3内蔵のHD4000。デスクトップパソコンでも同一のものが使われていますが、こちらも省電力化のためにパフォーマンスは抑えられています。
メモリは最新型のDDR3メモリですので、この辺りのパフォーマンスはプロセッサの能力に依存します。
ハードディスク性能は、さすがのSSDで、ハードディスクドライブが現在PCの最大のボトルネックになっていることを考えると、体感速度に大きな差を与えそうです。
これらの数値を他のノート型PCと比較してみます。参考程度にご覧ください。
NUC | C2D | Core i5 | |
プロセッサ | 6.3 | 6.0 | 7.2 |
メモリ | 7.2 | 5.5 | 7.5 |
グラフィックス | 4.9 | 3.4 | 6.4 |
ゲーム用 | 6.3 | 3.4 | 6.4 |
ディスク | 7.9 | 5.5 | 5.5 |
C2Dは3~4年前の15インチCore2Duoノート、Core i5は13インチ第3世代Core i5ノートです。
プロセッサとしては、4年前のエントリーモデルノートブック用のCPUより少し早い、という感じです。
コア数は同一といえ、スレッド数は増えていますので、マルチスレッドが必要な用途では、数値以上のパフォーマンスの差が出るかも知れません。
2.6GHzで動作するCore i5のノートPCとはそれなりの差があります。
メモリ性能はおおよそプロセッサの世代と性能によって、変化します。メモリ読み書き性能がCore2Duoに比べて向上しているので、同じ処理をする場合でもパフォーマンスの違いは感じられそうです。
グラフィック性能は、チップセット内蔵のCore2Duoとは世代の差を感じます。同一のグラフィックコアのCore i5とは動作クロックの差が出ているようです。
ゲーム用は3Dの性能などですが、グラフィックチップの差となるようです。フォトレタッチソフトのGPU処理などで差が出るのかもしれませんが、検証していないので不明です。
ディスクについてはmSATA接続のSSDとして突出しています。2.5インチハードディスクとは大きな差が出ています。
参考までにCrystalDiskMarkによるSSDのスピード計測の結果です。
ネット通販で、パーツ一式総額6万円弱、セルフでの組み立てですのでメーカー保証なし、OS無しです。
ほぼ同一スペックなノートパソコンであれば、Windows7HomePremiumつき、メーカー保証一年付きでこの値段でもあります(当然ながらハードディスクです)
一体型デスクトップPCとして考えれば、+ディスプレイが必要となります。これは1~2万前後から手に入りますので、8万円ぐらいでしょうか。
一体型PCでも8万円あれば、DELLを参考にすると、OS付きで、Core i5プロセッサを利用したモデルが手に入ります。
デスクトップ型は排熱などがNUCよりも設計しやすいためです。
こう考えると、NUCは割高というイメージがあります。割高感の一つとして、内蔵ドライブがSSDであることが挙げられるでしょう。
今回の構成でも256GBのSSDが総額のおよそ三分の一になっています。
この小さい筐体に収めるために、プロセッサの能力などは抑え目、Core2Duoの世代と同程度の処理速度ではありますが、内蔵ドライブの高速さで、補うということがNUCの設計の肝であるように思います。
SSDの良さの一つとして、熱を持たないということもあり、この小さい筐体内の排熱についても貢献しています。
デスクトップ型のCore i7機とNUCで同時にPhotoshopを起動した際、起動までにかかる時間はNUCが若干早いという印象です。
このスペックで、これだけの処理速度を持つのは、第3世代のCore i3の基礎的な力があってこそのものです。
スペック/価格比でいえば、一体型デスクトップの方が高いです。
一体型デスクトップに比べたNUCの利点としては、本体と別個にメンテナンス・拡張できる、省電力である。という点です。
用途に応じて、ディスプレイを増設、大画面化も容易に行えます。
HDMI端子が2つあるモデルでは、必要であれば27インチディスプレイをデュアルで使うこともできますし、省スペースに重きを置けば、19インチ程度の小さいディスプレイにマウントすれば、かなりのコンパクトにまとまります。
場面に応じた流動的な運用が可能です。
省電力、省スペースを利用して、フルサイズのPCを設置しにくい場所に、Wi-Fiを利用してLANに接続するなど、そういった用途にも使えそうです。
たとえば、工場、倉庫などの一角で、ネットワークケーブルが敷設されていない場所に設置するなどにも良いかもしれません。
120cm幅のデスクに2台置くことができ、ケーブルなどに多くのスペースを割かなくてもよいので、レイアウトなどに制限ある場合も使いやすいです。
現在弊社では、比較的一般的なデスクトップPCとしてNUCを使用していますが、これからどういった用途を割り当てることができるか、という点については様々に考えることができそうです。
また運用上に気が付いたことなどがあれば、投稿してみたいと思います。