iPhone 6とiPhone 6 Plusはなぜ大きいか
iPhone 6とiPhone 6 Plusはなぜ大きいか
iPhone 6とiPhone 6 Plusの2サイズは、現在までのiPhoneの中でも最も大きいモデルです。 サイズが大きくなると、画面の表示領域が大きくなるのはユーザーの使用感に関わる部分です。 今回iPhoneへiOS8を搭載することが、このサイズ変更の最も大きい要因であると考えます。 大きさ=バッテリー容量 サイズが大きくなると、設計の上でより大きなバッテリのための場所を確保できます。 近年のスマートフォンは機能が拡張されても、無線やプロセッサのチップが乗った基盤はむしろ小さく改良されるぐらいで、大きくなることはありません。 その分、どれだけ多くバッテリをのせることができるか。バッテリをたくさんのせることができれば、携帯としての待機時間、使用時間を伸ばせるのはもちろんとして、プロセッサをより高速に動作させることができます。 iPadとiPhoneは全く同じプロセッサをのせていたとしても、iPadはiPhoneに比べれば莫大なサイズのバッテリーを搭載していますので、プロセッサを最大限のパワーで動作させることができます。 パソコンに詳しい方であればわかるかもしれませんが、動作クロックをあげることができるのです。 この動作クロックは動的に変更させて消費エネルギーを変化させることができます。 iPhoneのような小さな機器はいかに動作クロックを上げている時間を短くできるかというところが重要になります。 スマートフォンとしての能力向上の意味 iPhoneは今ままでもAppleの開発するアプリ、開発者の開発するアプリ、これらを軸として、持ち運べるコンピュータとして認知を広げていきました。 今回のiOS8では、開発者向けに大幅な機能向上を行っています。 サードパーティーのIMEや、アプリ間の連携、ゲーム用の新しいフレームワーク、HealthKitやHomeKitなど外部機器とのより複雑な連携。 これら一つ一つは、iOSがそもそも持っていた隠し機能を開発者に向けて公開したものではなく、安全な形で使えるように新たに作り上げたものでしょう。 iOSの基幹部分の大きな改修が必要であったただろうことが、iOSのアップデートの容量と、必要空き容量に現れています。 iOS6からiOS7のような見た目の変更の際は、大きな内部改修を伴わないことが多いです。ですからiOS8になってからの不具合は今までより多く目にすることが多く感じます。 これらiOSの開発者機能の追加は、ユーザーにとっても開発者にとっても魅力的なもので、iOSアプリでの可能性を大きく広げます。 しかしながらそれだけの機能が利用できるようになると、よりパソコン寄りなアプリも作り出されることになります。 パソコン寄りなアプリは、どうしてもiPhoneの能力を最大限使うことを必要とするでしょう。そうすればプロセッサはより長い時間クロックを上げた状態で動作しなければならなく、またバックグラウンドでの動作も行うかもしれません。 そのために、バッテリ容量の増加はさけられないことです。 Appleはあくまでスマートフォンでできることをあえて制限し、携帯電話としての利用性を高めてきました。 これからはより持ち運べるコンピュータとしての側面を押し出していきたいということでしょう。 Androidへの追従か? ここまで機能追加したことは、Androidの機能の追従である、という意見はおおむね正しく、間違っていません。 Androidはかなり早期から、スマートフォンはパソコンであることを前面に押し出していました。ですからスクリーンサイズを大きくし、プロセッサをより早く、メモリをより多く、というパソコンの路線をそのまま継承しています。機能のリッチさが、他のメーカー製品との差異になります Androidはハードだけでなく、OS部分もカスタマイズが各メーカーでも可能で、より大きなバッテリを持っていても利用可能時間はまちまちですし、高速なプロセッサや大きなメモリを搭載している機種に適応したアプリを作れば、他のAndroid機種の利用者は同じ体験を得ることができません。 これもとてもパソコンらしい部分です、と同時に開発者にとっては悩ましい部分で、ターゲットの環境が分散していると、どれにでも対応するものを作るのはとても難しいです。 結局最低ラインの機器でも動作することが条件になってしまいます。例えるとセレロンではまったく動作しないソフトというのは、ゲーム以外ではなかなかリリースできないようなものです。 Appleの考え方 問題を複雑にしないことがAppleの現在の考え方の中心になっています。 AppleはハードとOSを同時に提供できる立場から、これらの断片化をコントロールすることができました。 またAppleはハードで利益を上げることを忘れることはありませんので、過剰スペックで利幅を圧縮することはないでしょう。 高性能な部品を安定的に安価で仕入れができるようになると、自社の機器に採用します。思想としては革新的であったとしても、iPhoneが個別のスペックをみれば最先端を走っていたことは今までもありません。 パソコンやスマートフォン、タブレットをすべてひっくるめ、個人利用のコンピュータがどのような形に落ち着くかについてAppleはおそらくビジョンを持っていることでしょう。コンピュータはもっとシンプルになるというのが、ジョブズCEO時代からの思想です。 ただ今はまだそのビジョンを実現させるのは様々な意味で早すぎ、土台が整うまでは徐々に物事を進めていくしかないということです。