Squareカードリーダー
Squareカードリーダー
スマートフォンによるクレジットカード決済サービス、Squareが日本でもサービスを開始しました。 これは上の使用例からもわかるように、非常に小さいリーダーをiPhoneなどスマートフォンのイヤホンジャックに接続し、磁気読み取り式でクレジットカードを読み取って、決済を行うことができます。 スマートフォンを通信と読み取り機に使うことで、別途カードリーダー、通信設備などを用意する必要がなく、簡易なレジしかない小売店舗や、飲食店などでも簡単にクレジットカード決済を導入することができます。 北米から事業展開が始まり、今年5月末より日本でも事業展開されるようになりました。 一度のカード読み取りによる取引ごとに、取引額の3.25%からが手数料として差し引かれます。 Square登場の背景 日本的な感覚で言えば、このようなよく理解できない機器を利用するよりも、おサイフケータイとFelicaリーダーのほうが安心なのではないか、という疑問がわいてきます。 確かにFelicaのような非接触型のICカードのほうが記録する情報を複雑にでき、通信経路の暗号化などにも安心感を持てます。 全国津々浦々のコンビニエンスストアのPOS端末でもそれができるのだから、というのは、日本独自の感覚です。 海外でもクレジットカード決済はさまざまな店で使われていますが、複写紙を利用するインプリンタという器具を用いる店舗も多くのこっており、そのためにクレジットカードからカード番号と契約者名、有効期限のエンボス(凹凸加工)がなくならない事情があります。 またレジも簡易な開閉機構しかないものが多く、計算機能も備えてない場合、店員さんがだしてきた計算機で、お金のやり取りを行うお店はかなりの割合であります。 日本のレジは通信機能、Felicaの読み取り、お札を入れるとおつりが出てくる自動入出金など、複雑で高価なPOS製品がかなり普及していますが、世界的に見て、珍しい一地域と言えます。 スマートフォンにNFCが標準搭載されても、世界のどこででも利用できるようになるまでには、まだまだ時間がかかる、という現状があります。 そんな中にSquareのようなスマートフォンと$10あまりの簡易なリーダーがあれば、クレジットカード決済を導入できてしまうというのは、技術革新と呼んでも差支えのないものでしょう。 Squareの技術 Square技術的なバックグラウンドについて、セキュリティ上あまり詳しく解説はしていませんが、カード読み取りにイヤホンを接続するオーディオジャックを利用するというのは、端末の低価格化にかなりの貢献をしています。 そもそも、かつてアナログ回線しかない時代は、音声を通じたデータ通信は当たり前でした。いまでもファクシミリを利用する場合は、雑音のようなデータ通信の音を耳にする場合もあるかもしれません。 iPhoneであればLightning端子、Androidであれば、MicroUSB等で接続する機器を考えますが、そのような構成をとれば、価格は現在の3~4倍、それにAppleであればサードパーティーのアクセサリとして、認可が下りるかどうか、というハードルがあります。 推測ですが、iPhoneアプリとカードリーダはおそらく音声によって、アプリとの通信を行い、カード情報を暗号化してやり取りし、それを3GやLTE、あるいはWi-Fiの電波を通じてカード決済センターに暗号化通信、決済の可否を通知する、という仕組みになっていると考えます。 このカードリーダーは単純な磁気読み取り装置ではなく、小型のコンピュータが内蔵されており、データの双方向通信を行えるものではないかと考えます。 リーダー-アプリ間の通信、アプリ-決済センター間の通信については、SSLや公開鍵暗号化など確立された技術が利用されています。 ただ技術的に暗号化がどれだけ可能であっても、それだけでは不正な決済を監視することはできません。 これについては、まず店舗従業員による、期限、名前の目によるチェック、スマートフォンのタッチパネルによるサインのチェック、あからさまに怪しい高額な決済については、カードリーダを通す前の人によるチェックになります。 センターに対して情報が送られた後は、クレジットカード決済センターには、普段通りでない異常なカードの利用を検出するノウハウを持っています。 不正な決済が行われた痕跡があれば、カードの利用停止などがおこなえる仕組みが出来上がっています。 機械の前後に、人によるチェックがあってこそ、このような簡易な機器によるクレジット決済が可能となるわけです。 ケーブルのないコンピュータ カードリーダーとの通信、タッチパネルによる認証コードの入力、センターと安全な通信機能があれば、カード決済機としては十分な性能を持つことができます。 今までは無線による通信については安全ではない等の理由で、有線の決済専用回線などを用意していたことなどを考えると、機器、通信インフラなど、導入にはかなりのイニシャルコストがかかっていました。 しかしスマートフォンが、これらの機能を十分備え、手のひらの上に収まってしまうオールインワンのコンピュータとして、通信ケーブルの届かないところ、電源の届かないところへコンピュータの能力を延長しています。 このようなモバイル機器の利用は、コンピュータの新たな可能性を感じさせます。 そもそも簡単な仕組みで、個人用でしかなかったパーソナルコンピュータが、現在のビジネスにおいて欠かせない機器になったように、スマートフォンやタブレットが新しいビジネスに取り入れられ、溶け込んでいく将来はすぐそこにあるように感じます。