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PC-9801は80年代から90年代にかけてNECが販売していた独自規格のパソコンです。
当時日本の家電メーカーなどではそれぞれ独自規格のパソコンを開発販売しており、8bitのホビー用途のものが多い中、PC-9801はその中でも高級機、企業用として利用されていました。
PC/AT互換規格のパソコンが作られ始めてから、価格的に圧倒されシェアを失い、現在製造は終了しています。
このPC-9801は工場の現場に行くと現役で製造機器の制御用のコンピュータとして利用されています。
PC-9801シリーズのメーカー保守は2010年に全てを終了しているので、正規サポートを受けることができず、中古のPC-9801を利用するなどして自力の保守が続けられています。
製造機器は耐用年数というものが長く設けられており、4年で計算されるパソコンと比べればほとんどの機器は何倍もの年数が設定されています。
そのため機器のライフサイクル自体が全く別の物として設定されます。
30年以上前の、現在のパソコンなどとは比べられない低スペックなものなら、簡単に置き換えられるのではないかと思う気持ちが出てくるかもしれません。
多くの場合、機械の制御について、非常にデリケートなタイミング調整がPC-9801の実機に合わせてプログラミングされていることが多いです。
また接続端子なども現在としてはほとんど使われていないコネクタが採用されているなど、全く同じインターフェースを持つことだけでも大変です。
機器から送られてくるデータ、PC-9801側から機器に送るデータを途中で仲立ちしてすべて取る、ということも難しく、別のものに置き換える場合、機器の設計などから理解しなければいけないことが殆どです。
そのような製造機器の制御に別のライフサイクルの製品であるパソコンを利用するのはおかしいのではないかという考え方もあるかもしれませんが、そのためのパソコン相当の制御機器や表示装置、入力装置を新たに一から作るよりはよほど安価にできたというコスト面のお話にもなります。
パソコンなんか同じもの、というパソコンだけで完結する世界なら当たり前のことでも、こと機器の制御としては簡単な話ではありません。
ただ保守部品がどんどんと手に入りにくくなる現在、置き換えたいというニーズは高まるものと思われます。
それにどう対応していくかは、製造機器メーカーに頼るしかなく、旧来の機器やソフトウェアを扱えるエンジニアの減少など別の問題などとも複合されより複雑化しています。