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米国マイクロソフトがiPad用のマイクロソフトオフィス(以下Office)のリリースを行いました。
Office365というOfficeの定額制プランに加入している人はすべての機能を利用できる、ものです。
タブレットで、Windowsタブレット以外のハードへは最初の提供になります。
Officeを普段利用していて、ファイルをiPadでも使いたい、という場合は互換製品の利用が必須でしたが、今回純正品がリリースされた事で、互換アプリはほとんど利用されなくなると考えられます。
ただし、今回リリースされる135カ国の中に日本は含まれておらず、年内対応の予定、とだけ告知されるに留まりました。
見送られた最大の要因としてはOffice365がごく一部のビジネスユーザー向けにのみ提供されている、という事がもっとも大きいでしょう。
他の国では個人向けのOffice365も公開されていて、年間$99で5台までのパソコンにインストール可能なHomeや1台だけのPersonalなどいくつかのサービスがあります。
このサービスの一部として提供されたのがOffice for iPadということになります。
Office for iPadのアプリ内課金でOffice365への加入も可能になっているため、Officeのシェア拡大の一環として行われたものとわかります。
日本ではこの個人向けOffice365が提供されていないため、今回のOffice for iPadが提供されなかったと考えるのがよいのではないかと考えます。
国内でのOfficeはビジネス用途であればほとんどの割合で、また一般向けのパソコンでもWord、Excelのバンドルは大きな需要があります。
書式を重んじる日本のビジネスのなかで、WordやExcelのファイルは標準フォーマットとして、この十年以上にわたって用いられてきました。
海外の文書は、そこまで書式を固めていない、フリーフォーマットのものであったり、請求書、領収書などでも罫線をほとんど使わないものが多いです。
(Invoiceと請求書で画像検索などをするとわかりやすいです)
書式のスタイル互換性という点において、OpenOfficeやLibreOfficeなどの競合製品はほとんど要件を満たしていないのが現状です。
海外でもOfficeは7割以上のシェアを占めているので、日本だけが依存度が高いという訳ではありませんが、省コスト化するためにLibreOfficeなどを検討しやすい土壌があります。
コスト面の抵抗を取り払い、Officeの市場シェアのを補強するために、Office365は投入されています。
これはAdobeもCreativeCloudなどで用いている方法です。Adobeはもともとクリエイティブ向けアプリ市場では支配力を持っていましたが、一括して購入すれば30万円近いパッケージを月額5000円とする事で、その地盤を確固としたものとする戦略に出ています。
国内のOffice利用状況から考えて、他のオフィススィートへの移行は簡単ではないため、市場シェアの低下に対する補強の意味で低価格化する必要性は、今のところないように考えます。
また現在のフォーマットを固めたOfficeファイルを扱うためには、タブレットは多少の不利があるはずです。タッチパネルはマウスよりはかなりおおざっぱな操作しかできません。
憶測ですが、年内を目処とする旨の発言は、Office365が国内でも展開する予定が年内にあるという事ではないかと考えることも可能です。
すでにアプリの日本語対応はできているので、マイクロソフトの方針次第という事でしょう。