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Windows7への移行も順調に行われているWindowsXPですが、その使用期間は大変長いものになりました。
サポート自体は2014年4月まで行われますので、現在も使用を続けているユーザーも多くいるはずです。
WindowsXPは、非常にお得感が高かった、と感じます。
そのお得感のナゾを考えてみたいと思います。
まずは下記の表をご覧ください。
OS名 | 定価 | リリース | 延長サポート終了 | サポート期間 | 月割り単価 |
Windows98 | ¥24,800 | 1998年07月 | 2006年07月 | 96ヶ月 | ¥258.33 |
WindowsNT4.0WS | 1996年08月 | 2004年06月 | 94ヶ月 | ||
Windows2000Pro | ¥34,700 | 2000年02月 | 2010年07月 | 125ヶ月 | ¥277.60 |
WindowsXP Pro | ¥35,800 | 2001年11月 | 2014年04月 | 149ヶ月 | ¥240.27 |
WindowsVISTA | ¥39,690 | 2006年11月 | 2017年04月 | 125ヶ月 | ¥317.52 |
Windows7 | ¥39,690 | 2009年09月 | 2020年01月 | 124ヶ月 | ¥320.08 |
Windows8 | ¥16,000 |
2012年10月 | 2023年01月 | 123ヶ月 | ¥130.08 |
OS X Tiger | ¥22,800 | 2005年04月 | 2009年09月 | 53ヶ月 | ¥430.19 |
OS X Leopard | ¥14,800 | 2007年10月 | 2011年06月 | 44ヶ月 | ¥336.36 |
OS X Snowleopard | ¥3,300 | 2009年08月 | 40ヶ月(推定) | ¥82.50 | |
OS X Lion | ¥2,600 | 2011年07月 | 40ヶ月 (推定) | ¥65.00 | |
OS X MountainLion | ¥1,700 | 2012年07月 | 40ヶ月 (推定) | ¥42.50 |
定価とは正規版の定価価格です。OEM版は購入時の本体での利用が条件となるため、本体の寿命とかかわりなく使える正規ライセンスの定価を記入しています。
2013.2.6追記 優待価格終了につき価格表改定。Windows8では新規インストール用パッケージはなくなりDSP版(OEM版)と統合されたようです。
延長サポート終了とは、セキュリティアップデートの提供終了時期と考えていただけるとわかりやすいです。
セキュリティアップデートがない状態でOSを使い続けるのは、その後に発見された脅威に対応できないので、事実上の使用期限と考えます。
リリース開始から延長サポート終了までをサポート期間とし、その月数で定価を割ることで月々の使用料金を割り出してみます。
これは払いきりのOS購入料金に対して、OS提供メーカーがどれだけの間サポートに費用をかけたかという指標になるのでは、という試みです。
Mac OS Xについては参考までに載せてありますが、Appleはハードメーカーでもあり、ソフトウェアメーカーであるマイクロソフトとは考え方が違うため、参考までに記載しています。
上記グラフは製品のサポート期間と、サービスパックなど、更新版が提供されていた期間のを図示したものです。
グリーンの期間がサービスパックなどのバージョンアップが行われていた期間、赤い部分がセキュリティアップデートなどが提供されていた期間です。
ここでもWindowsXPは最長となっていますが、WindowsXPまではサポート期間の半分程の期間にわたって、サービスパックなどが提供されていたことがわかります。
これらからみられるのは、Windows7までのWindowsは平均的に3万円台後半を定価とし、標準的な延長サポート期間は120ヶ月(およそ10年)。標準サポート期間は65ヶ月で、およそ5年と定められているようです。
WindowsXPは前世代のWindows2000から1000円値上げしますが、サポート期間は149ヶ月と24ヶ月長く設定されています。
WindowsXPの登場時、Windows95/98/Meまでの古いWindowsを、WindowsNTベースの新しく堅牢なWindowsに置き換えることが最も大きな役割でした。
これによりリソース不足に悩まされていた、Windows98やMeなどのユーザーは安定性を手に入れることができ、Windowsの信頼性を大きく向上することができました。
マイクロソフトは、このWindowsXPの成功を礎として、Windowsの次期バージョンLonghornの開発に着手しました。
しかしWindowsXPに、セキュリティー的な欠陥が次々と発見され、2004年にWindowsXP全体のセキュリティーを見直したサービスパック2がリリースされることになります。
大きなバージョンアップである、サービスパック2のリリースのためにLonghornの計画は遅れ、当初搭載すると表明していた機能を削減したWindowsVistaが発売されるまで、XP登場から5年の月日がかかりました。
このWindowsVistaはメジャーバージョンアップであったため、多くのユーザーの間で様子を見たり、買い控えたりする動きがでました。
買い控え自体はWindows2000からWindowsXPに移行時にも見られましたが、Vistaは登場時の評判も芳しくなかったため、買い控えを選ぶユーザーがかなり多かったことから、マイクロソフトもサポートの延長をえらばるを得なくなりました。
登場時期の古いOSを使い続けるリスクは、新しいOSに乗り換えて問題が発生するリスクよりも、期間を経るごとに大きくなっていきます。
古い設計のOSは、最新の状況に追従しにくく、ソフトウェアメーカーとしても、サポートのためにより多くの費用が必要となります。
WindowsXPからWindowsVista/7以降はUACはじめ大きなセキュリティー上の変更も加えられており、サポート終了を待たず、可能であれば、早く移行すべきです。
WindowsXPの12年というサポート期間は、他のOSと比較しても異常に長いと言えます。
マイクロソフトも売り切りモデルのソフトウェア製品に対して、そこまでの長い期間のサポートを続けることは、大きな負担となったはずです。
Windowsも近年はサービスパックのリリースを早いうちに止め、新規製品のリリース間隔を短くしていくことがグラフからもわかります。
OS単体でのビジネスモデルではなく、本体製品とのセットで販売することを前提とするAppleが、比較的短いサイクルでOSの新バージョンをリリースし、サポート期間は短く、価格は低下させていく方針を打ち出しています。
これはなるだけユーザーが新しいOSに移行しやすくし、メーカーとしてOSリリース以降にかかる費用を低減し、新しい製品への開発資源を集中させるためでしょう。
この動きにマイクロソフト社も追従する動きを見せており、Windows8は\6,090とそれまでのWindowsとは大きく異なった価格帯で発表し、またOSのリリース間隔を短くするという情報もあります。
WindowsXPはユーザーにとってはお得感の大きいOSではありましたが、OSメーカーにとっては様々な方針の転換を促すものになったのではないでしょうか。