ownCloudのテスト中の使用感
Dropboxの代替手段として紹介したownCloudですが、いろいろとテストしてみています。
まだまだ実用ベースで利用できるという判断はしていませんが、現在までのざっくりとした感想を書いてみようと思います。
Web経由ですと、php.iniのファイルアップロードの上限を受ける以外に、仕組み上の1GBの制限があるようですが、クライアント経由、WebDAV経由であれば、それらの制限は受けないようです。
4GBのファイルを試みにアップロードしましたが、owncloudディレクトリ配下のユーザーディレクトリに同期されました。
そこから他のマシンへの再同期は現在試していません。
あまり大きなファイルを扱うのは得意ではないと考えられますが、バックアップ用として、サーバに格納されればよいのであれば、使い道はあります。
転送速度について
フォルダを同期しながらのファイルコピーは大きな時間がかかりますので、
同期を一時停止してからファイルをコピーし、そこから再開することで、ファイルコピーとファイルの転送を分けて行うことができ、大きなファイルは円滑にアップロードできるように感じます。
この方法で、700MB程度のファイルの転送に要した時間は9分でした。
1.3MB/秒ほどのアップロード速度が出ていますので、テストした環境では、dropboxへのアップロードよりは、はるかに高速に行われているという感覚です。
Dropboxは独自の通信手段と、暗号化、サーバーもアメリカにあるという事ですから、参考程度の数値ではありますが、筆者の環境では300KB/秒ほどが平均的なアップロード速度です。
大容量、長時間のアップロードについて
個人所有のVPSにownCloudを設定し、就寝前に、個人所有のそれなりに大容量で多数のファイル、21GBをクライアント経由で同期するテストを行いました。
起床までに転送は終了しており、ログによると転送時間は6時間程度かかり、おおよそ0.9MB/秒ほどの速度が出ていたことになります。
Dropboxでは有料でないと21GBの転送を試すことはできませんので、Dropboxでは同等のことを試すことは筆者にはできません。
アップロードしたものは、複数の日本語を含むファイルでしたが、iPhoneのownCloudアプリでファイルを確認したところ、正常にファイル名をみることができました。
LTE圏内であれば、一つのファイルが数秒でダウンロードされます。
ownCloudクライアント自身では音楽の再生機能はないので、そこからGoodReaderで開くを選択することで再生も可能でした。
このようなサーバ経由のメディアファイルの取り扱いは、法的な解釈が分かれるところであり、このサーバーを他者とも共有しない限りは違法性は薄いと考えますが、あくまでわかりやすい規模のボリュームの、アップロードのテストとして行っていることを付け加えておきます。
SSL通信について
PCやMac、iOSのクライアントを介したものも、HTTPSを設定していれば、すべてSSLで通信されているようです。
アップロードもダウンロードもSSL通信で行われていることが、ログからも確認できます。
コストなどについて
今回使用した自己所有VPSテスト用サーバーはさくらのVPS2Gプランを使用しています。
Dropbox有料プランと、さくらVPSの価格を単純に比較してみます。
Dropboxは100GBの容量が年間$99.00、200GBで$199、500GBで$499です。
費用はこれだけで、あとはプロバイダなどの一般的な通信費用となります。
さくらVPSであれば、1Gプランディスク容量100GBで10,780円、2Gプラン200GBで16,800円、4Gプラン400GBで47,760円です。
VPSですのでシステム領域が必要ですので、すべてをストレージとして使用することはできません。
これに追加して、SSL通信を行うためにドメイン、SSL証明書で年間約4000円~の費用が最低でもかかります。
Dropboxは割安なうえに、導入までに必要な手間は全く違いますので、簡単に比較できるものではありません。
コスト的な面で見るとこのような差があります。
ownCloudの有利性
自己管理のサーバーであるため、さまざまなVPNソフトや、iptables、htaccessを利用した、アクセス制限をニーズに合わせて設けられることが、Dropboxに対する優位性と考えます。
社内保有のサーバーなどにも導入することができますので、データのバックアップや完全な消去などを自己の管理下で行うことができます。
これからまた、様々な形でテストを行い、ownCloudの有用性を探っていきたいと思います。