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RAIDとはなんですか

HDD

昨日、このブログ記事を読んでいて、思わず笑って切なくなってしまったのもあり、RAIDについて書いてみようと思います。

RAIDという言葉もパソコンにある程度詳しい方なら、一度は聞いたことのある用語だと思います。

RAIDの起源

RAIDはカリフォルニア大学バークレー校で1988年に発表された論文の中で初めて登場しました。

RAIDは頭文字からなる言葉でRedundant Arrays of Inexpensive Disks、の略語で、「安価なディスクの冗長的な配列」と訳すべきでしょうか。

当時、メインフレーム等大型のコンピュータに導入されているハードディスク装置は、現在のハードディスクという言葉から想像もできないぐらい高価であり、一般用の安価なハードディスクとの価格差、性能差は大きなものがありました。

この安価なハードディスクを、複数台束ね、アクセスを分散させることによって、個々の安価なハードディスクでも、それなりの性能を引き出すことを目的としてRAIDは生まれました。

現在、一般用のハードディスクの性能が向上し、高価なハードディスク装置というものがなくなり、ハードディスクを複数台束ねて使うことが一般的となったため、RAIDの中からInexpensive(安価)という部分が意味をなさなくなり、Redundant Arrays of Independent Disks(独立したディスクの冗長的な配列)という言葉の略称であるといわれることが一般的です。

RAIDの種類

RAIDという言葉を私たちが聞くとき、RAID0、RAID1、RAID5などと数値とともに表されています。

これらの数値にはそれぞれ意味があります。

RAID0

RAID0は複数台のハードディスクを束ねて使うことで、書き込み、読み込みの高速性を追求した形です。ストライピングとも呼ばれます。信頼性は単体のハードディスクより下がります。

現在ハードディスクと本体PCを接続する規格としてシリアルATAがよく使われていますが、これは最大600メガバイト/秒の読み書き性能があります。

標準的なHDDの読み書き速度は最高でも100メガバイト/秒前後ですので、複数のハードディスクに分散して読み書きすることによって、一台のハードディスクの上限を超えて読み書きを行う目的で使用されます。

複数台のハードディスクに分散して一つのファイルを書き込みますので、一台のハードディスクでも故障すれば、あらゆるファイルの復元は不可能になってしまいます。

一時的なファイルを高速で読み書きする必要があるときのみ勧められるかも知れませんが、このような状況はなかなかありません。

RAID1

RAID1は複数台のハードディスクに、同一のデータを書き込むことによって、ハードディスクの故障に備えた、予備を作るという目的で使用されます。

ハードディスク2台から構築でき、OS自体がその機能を持っていることも多いので、一番身近なRAIDの形といえます。

ハードディスクが故障した場合、故障していないハードディスクで継続してデータの読み書きができるため、あまり細かいことを気にする必要なく運用できる単純な構成です。

ただ、RAID1=データのバックアップとして認識するのは、問題があります。

このRAID1のボリュームに対して、データを破壊するような書き込み(たとえば誤ってファイルを消去する)を行ってしまった場合に、構成するハードディスクすべてに同様の書き込みが行われてしまいます。

あらゆるRAIDに言えることですが、RAIDボリュームはあくまでハードディスクの故障という問題に対処するための手段であり、データの保護のためには、別のハードディスクやRAIDボリュームに対して、バックアップを行うことが、データを失わないために重要なことです。

RAID5

RAID5は、3台以上のハードディスクから構築され、複数台に分散して書き込みを行うRAID0の高速性と、うち1台のハードディスクの故障があっても、パリティと呼ばれるデータから、読み書きが継続して行うことができるという耐障害性を備えた方式です。

このパリティの計算を行う必要があるため、専用のコントローラーなどを用意しないと、十分なパフォーマンスを得られません。

また同時に2台以上の障害が起こると、すべてのデータが読みだすことができなくなってしまうため、1台に障害が起これば、できるだけ速やかにハードディスクを交換し、リビルドという操作で、RAIDのデータの再構築を行う必要があります。

そのため、RAID5を運用していくうえで、メンテナンス体制が最も重要なことになります。

メーカー保守がなく、独自運用していくためには、ノウハウと、準備が重要です。

バックアップは重要です

データの保全という意味でのバックアップは、RAIDとは分けて考えるべきです。

WindowsであればWindowsバックアップでの定期バックアップという手段も用意されていますし、RAIDを利用したNAS(ネットワークストレージ)なども、独自の外部端子と、バックアップタスクを設定できるものがほとんどです。

大規模なRAIDでも定期的なテープ装置などによるバックアップは欠かせませんし、小さい規模のRAIDでも同じことです。

ハードディスクはいつかは壊れることは前提として考え、それは明日かもしれません。障害から復旧までの時間はRAIDを使えば、短縮できることは多いでしょう。

それに加えて、RAIDボリューム自体の破損にも備えが必要となります。